という方も多いかと思います。全期間固定金利は、わかりやすい金利タイプですので、比較の方法も簡単です。注意点を踏まえて解説します。
住宅ローン全期間固定金利比較で理解しておくべきこと
当初固定金利と全期間固定金利の違い
当初固定金利とは?
全期間固定金利とは?
例:三菱UFJ銀行の場合
「借り始めの金利を特に引き下げ ~ぐんとうれしい住宅ローン」
が当初固定金利と言えます。
「超長期固定金利住宅ローン ~ずーっと固定金利コース」
が全期間固定金利と言えます。
しかし、
全期間固定金利 = 借入から完済までずっと同じ金利が適用される金利タイプ
という定義ですから
当初2年固定金利も、2年以内に完済するなら全期間固定金利ということになります。
当初2年固定金利で、10年借りる予定であれば、当初期間終了後に金利が上昇するため、当初固定金利ということになります。
つまり、当初固定金利、全期間固定金利というのは、銀行側が設定する住宅ローンの金利タイプの違いなのではなく、借りる側の借入期間によって変ってくるものと言えるのです。
全期間固定金利は借入期間が長くなると金利が高くなる
固定金利の特性として
借入期間が短くなればなるほど → 金利が低金利
という設定になっています。
これは、当然で「金利を固定する」ということは、銀行側のリスクが増えることになるため、借入期間が長くなればなるほど、銀行側のリスクが増大する分金利設定が高くなるのです。
例:三菱UFJ銀行の場合
「超長期固定金利住宅ローン ~ずーっと固定金利コース」
フラット35と民間銀行の全期間固定金利の違いを理解する
フラット35も、全期間固定金利の金利タイプを採用した住宅ローンですが、フラット35と民間銀行の住宅ローンには下記のような違いがあることを理解しておきましょう。
「民間銀行の全期間固定金利」と「フラット35」比較
比較項目 | フラット35 | 民間銀行の全期間固定金利 |
---|---|---|
団信加入 | 任意加入 | 必須加入 |
団信特約料 | 有料(利用者負担) | 無料(銀行負担) |
審査 | 物件の性能が重視される | 返済能力が重視される |
審査の甘さ | 甘い | 厳しい |
金利 | 低金利 | フラット35よりは高金利 |
販売者 | 全国の300以上の金融機関が代理販売 | 自社で販売 |
販売者 | 積極的に販売 (自社の審査落ち者に案内することもある) | 販売は消極的 (逆ザヤリスクがあるため、変動金利や当初固定金利を売りたい) |
借入期間 | 15年~35年 | 1年~35年 |
事務手数料 | 販売する銀行ごとに設定 | 銀行ごとに設定 |
金利設定 | 住宅金融支援機構が決定した金利 (ほぼどの銀行でも同じ金利) | 銀行ごとに設定 |
他社からの借り換え | 可能 (フラット35からフラット35の借り換えも可能) | 可能 |
保証料 | 無料 | 都市銀行・地方銀行:金利+0.2%上乗せ ネット銀行:無料 |
借入可能額 | 8000万円以下 | 1億円以下 |
保証人 | 不要 | 不要 |
担保 | 借入対象となる住宅およびその敷地 | 借入対象となる住宅およびその敷地 |
繰り上げ返済 | 可能 (ネット:10万円以上から) | 可能 (ネット:1円以上から) |
大きな違いは
- フラット35は団信を付けないという選択ができる(その分、低金利になる)
- フラット35の方が物件の性能を審査するので審査が甘い
という2点になります。
銀行による諸費用・保証料の違いを抑える
多少の違いなら、問題ありませんが「かなり違う」ので注意が必要です。
都市銀行(メガバンク)
地方銀行
- 保証料:金利+0.2%(そのほか、一括前払いも可能)
- 事務手数料:33,000円(税込)
ネット銀行
新しい形態の銀行
上記の都市銀行、地方銀行のネット専用プラン
- 保証料:無料
- 事務手数料:借入額の2.2%(税込)
と大分違うのです。
例えば
- 大手都市銀行A社 変動金利0.50%
- ネット銀行B社 変動金利0.50%
となっていた場合、金利自体は同じに見えますが・・・
- 借入額3000万円
- 借入期間35年
- 金利変動なし
という条件だと「どういう違いが出るのか?」計算してみます。
大手都市銀行A社 変動金利0.50%の場合
保証料:金利+0.2%
ですので、実際の金利は
実際の金利 = 0.5% + 0.2% = 0.7%
になります。
金利0.7%で35年間借りると
- 総返済額:33,833,412円
- 毎月の返済額(最大):80,556円
- 諸費用:32,400円
合計:33,833,412円 + 32,400円 = 33,865,812円
ネット銀行B社 変動金利0.50%の場合
保証料:無料
ですので、実際の金利は
実際の金利 = 0.5%
になります。
金利0.5%で35年間借りると
- 総返済額:32,707,559円
- 毎月の返済額(最大):77,876
- 諸費用:借入額の2.16% = 3000万円 × 2.16% = 648,000円
合計:32,707,559円 + 648,000円 = 33,355,559円
大手都市銀行A社 変動金利0.50% = 33,865,812円
ネット銀行B社 変動金利0.50% = 33,355,559円
同じ金利0.50%でも、ネット銀行B社の方が510,253円もお得になる
のです。
つまり、
- 都市銀行(メガバンク)
- 地方銀行
の変動金利を比較する場合には、はじめから保証料の「金利+0.2%分」を織り込んでから、比較しなければならない
のです。
当サイトの住宅ローン金利比較では、はじめから保証料分を織り込んで比較表を作成しています。
住宅ローン全期間固定金利比較の正しい手順
手順その1.保証料が金利上乗せタイプの場合、金利にあらかじめ保証料分を入れて比較する
前述した通りで
- 都市銀行(メガバンク)
- 地方銀行
の住宅ローンは、保証料が「金利+0.2%」というスタイルがほとんどです。
ややこしいのは、最近は
- 都市銀行(メガバンク)
- 地方銀行
も、保証料無料のWEB限定プラン、ネット専用プランを、自社、もしくは子会社・グループ会社で提供しはじめています。
当サイトの住宅ローン金利比較では、はじめから保証料分を織り込んで比較表を作成しています。
手順その2.借入期間を決定する
全期間固定金利で住宅ローンを比較する場合に、まず決めなければならないのは
何年で完済させるか?
です。
借入期間は後で変更しても構いません。
借入期間を設定する方法としては
いくらなら毎月の返済が無理なくできるのか?
で決めることをおすすめします。
毎月の返済額を計算してみると
- 借入期間35年(金利1.0%・借入額3000万円) → 毎月の返済額:84,686円
- 借入期間30年(金利1.0%・借入額3000万円) → 毎月の返済額:96,492円
- 借入期間25年(金利1.0%・借入額3000万円) → 毎月の返済額:113,062円
- 借入期間20年(金利1.0%・借入額3000万円) → 毎月の返済額:137,968円
となります。
当然、早く返そうとすれば毎月の返済負担は増大しますし、最長の35年という返済期間にすれば毎月の返済額は小さくなります。返済シミュレーションの借入期間を調整しながら、適切な借入期間を見つけましょう。
※5年単位で金利が設定されている銀行が多いので、5年単位で借入期間を決定すると良いでしょう。
手順その3.団信の必要性の「あり・なし」を決定する
団信とは
民間銀行の住宅ローンは、団信加入が「必須」条件ですが、住宅金融支援機構が提供しているフラット35の場合は、団信加入が「任意」なので、「あり・なし」を選ぶことができます。
手順その4.全期間固定金利を比較して、条件に合致している全期間固定金利の中で低金利のものを上位5社ほどピックアップする
住宅ローンの全期間固定金利を比較します。
例えば、当サイトの比較表を利用した場合/2017年11月時点
「借入期間:35年」 → 「借入期間:35年」のタブをクリックする
「団信あり」
→ 「団信ありのフラット35」と「民間銀行の住宅ローン」で低金利のものを5社ほどピックアップする
- 1位:住信SBIネット銀行/ネット専用住宅ローン:1.320%
- 2位:SBIマネープラザ:1.330%
- 3位:ARUHI/フラット35(融資額90%以下/団信あり):1.370%
- 3位:住信SBIネット銀行/フラット35(融資額90%以下/団信あり):1.370%
- 3位:楽天銀行/フラット35(融資額90%以下/団信あり):1.370%
※融資率90%以下というのは「頭金1割超」を意味します。頭金が1割未満の場合には選ぶことができません。
「団信なし」
→ 「団信なしのフラット35」で低金利のものを5社ほどピックアップする
- 1位:ARUHI/フラット35(融資額90%以下/団信なし):1.170%
- 1位:住信SBIネット銀行/フラット35(融資額90%以下/団信なし):1.170%
- 1位:楽天銀行/フラット35(融資額90%以下/団信なし):1.170%
※融資率90%以下というのは「頭金1割超」を意味します。頭金が1割未満の場合には選ぶことができません。
手順その5.事務手数料を比較する
ピックアップした銀行の事務手数料を確認します。
- 1位:住信SBIネット銀行/ネット専用住宅ローン:借入額の2.2%(税込)
- 2位:SBIマネープラザ:借入額の2.2%(税込)
- 3位:ARUHI/フラット35(融資額90%以下/団信あり):借入額の2.2%(税込)
- 3位:住信SBIネット銀行/フラット35(融資額90%以下/団信あり):借入額の2.2%(税込)
- 3位:楽天銀行/フラット35(融資額90%以下/団信あり):借入額の1.1%(税込)
ここで問題は
借入額の2.2%(税込)で一番低金利の
- 住信SBIネット銀行/ネット専用住宅ローン:1.320%
と
借入額の1.1%(税込)で金利は3番手の
- 楽天銀行/フラット35(融資額90%以下/団信あり):1.370%
は、どっちがお得か?
という問題です。
借入額:3000万円の場合
住信SBIネット銀行/ネット専用住宅ローン:1.320%
返済総額:37,477,715円
事務手数料:648,000円
その他の諸費用:180,000円
総返済額:38,305,715円
楽天銀行/フラット35(融資額90%以下/団信あり):1.370%
返済総額:37,781,718円
事務手数料:324,000円
その他の諸費用:180,000円
総返済額:38,285,718円
ですから、
という判断になります。
総返済額を計算する返済シミュレーション
計算された総返済額で住宅ローンを比較するシミュレーション
手順その6.付加価値サービスを比較する
金利と事務手数料がわかれば、金銭的な価値はその時点で比較が可能です。
しかし、これ以外に人によって評価が分かれる「付加価値サービス」というものが存在します。
住宅ローンを提供する各銀行とも、いろいろなサービスを付けることで住宅ローンの顧客を増やそうとしているのです。
今回ピックアップした銀行では
住信SBIネット銀行/ネット専用住宅ローン
- 全疾病保障団信無料
- 女性限定ガン診断給付金特約
SBIマネープラザ
- 全疾病保障団信無料
- 団体総合生活補償保険
という付加価値サービスが付帯されています。
これも、加味して全期間固定金利の住宅ローンを比較する必要があるのです。
前述した総返済額での比較では
という結果になりますが
ということを考慮すれば
というのも、当然の判断になるのです。
手順その6.候補を優先順位をつけて3社に絞り込む
金利、事務手数料、付加価値サービスを比較した上で、全期間固定金利に総合的な優先順位を付けます。
例えば
- 1位:住信SBIネット銀行/ネット専用住宅ローン:1.320%
- 2位:SBIマネープラザ:1.330%
- 3位:楽天銀行/フラット35(融資額90%以下/団信あり):1.370%
という形です。
手順その7.3社とも仮申込をする
住宅ローンは、契約が完了しなければ、キャンセルしても問題はありません。
この時点で、3社ともに申し込んでしまった方が時間的なロスは少なく済みます。
仮審査が通ったものの中で、一番優先度の高いものを絞り込めば良いからです。
- 落ちてから、次の候補の銀行
- また、落ちてから、次の候補の銀行
だと、時間的なロスが大きいのです。
また、住宅ローンの申込書類などは、ほぼ同じですので、役所などに行くことも考えると、一度に申し込んでしまった方が効率的です。
手順その8.審査に通ったものの中で一番優先度の高い住宅ローンに申し込む
審査に通ったものの中で一番優先度の高い住宅ローンに申し込みましょう。
住宅ローン全期間固定金利比較 2025年7月最新
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まとめ
住宅ローン全期間固定金利比較で理解しておくべきこと
- 当初固定金利と全期間固定金利の違い
- 全期間固定金利は借入期間が長くなると金利が高くなる
- フラット35と民間銀行の全期間固定金利の違いを理解する
- 銀行による諸費用・保証料の違いを抑える
住宅ローン全期間固定金利比較の正しい手順
- 手順その1.保証料が金利上乗せタイプの場合、金利にあらかじめ保証料分を入れて比較する
- 手順その2.借入期間を決定する
- 手順その3.団信の必要性の「あり・なし」を決定する
- 手順その4.全期間固定金利を比較して、条件に合致している全期間固定金利の中で低金利のものを上位5社ほどピックアップす
- 手順その5.事務手数料を比較する
- 手順その6.付加価値サービスを比較する
- 手順その7.3社とも仮申込をする
- 手順その8.審査に通ったものの中で一番優先度の高い住宅ローンに申し込む
というものになります。
「全期間固定金利の住宅ローンの正しい選び方を教えてほしい。」