FPが教える住宅ローン控除(住宅ローン減税)・住宅ローン税制優遇の100%活用法

目次

FPが教える住宅ローン控除(住宅ローン減税)・住宅ローン税制優遇の100%活用法

その1.住宅ローンで使える最新の税制優遇を常にチェックする

一般の方が考えている以上に政府や国土交通省が行う政策には、住宅ローンに関連したものが多く含まれています。

  1. 住宅ローンに関する税制優遇や政策を作る
  2. 住宅ローンを借りやすい環境になる
  3. 住宅購入者が増える
  4. 不動産市場が活性化する
  5. 出生率が向上する
  6. 景気が良くなる

という関係にあります。

concierge
市場規模の大きい不動産市場の景気動向が日本の経済全体に与える影響は大きく、景気向上策の中で「住宅ローン関連の税制優遇や政策」は存在感が大きいのです。
住宅ローンの関連税制は政策的に重要な意味を持つため、優遇度の高いものが多いのです。

シンプルに言えば

住宅ローンの税制優遇は、使えるならば使わなければ損!

と言いきれます。

税制優遇は多くの方が利用しないと意味がないので、多くの方が対象となる設計になっているのです。

concierge
また、住宅ローンに関連する税制優遇は毎年見直されます。毎年最新情報をチェックしておく必要があるのです。

住宅ローン税制優遇の最新情報/2018年2月


住宅ローン控除(住宅ローン減税)

住宅ローン控除(住宅ローン減税)とは

住宅ローンを利用して、マイホームを購入するときに利用できる税制優遇制度のこと

概要

住宅ローン残高の1.0%を10年間毎年、所得税や住民税から控除できます。

対象物件一般住宅認定住宅
居住年平成26年4月~33年12月平成26年4月~33年12月
年末残高の上限4,000万円5,000万円
控除率1.0%1.0%
控除期間10年10年
所得税控除上限/年40万円50万円
住民税控除上限/年13.65万円/前年課税所得×7%13.65万円/前年課税所得×7%
主な利用条件10年以上の住宅ローンを組むこと
床面積50㎡以上
中古住宅の場合は耐震基準に適合すること
10年以上の住宅ローンを組むこと
床面積50㎡以上
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅であること

計算例

年収400万円(給与所得控除・基礎控除のみ)、住宅ローン借入額3000万円の方の場合
  • 給与収入:4,000,000円
  • 課税所得:2,280,000円
  • 所得税:130,500円
  • 住民税:235,500円
住宅ローン控除/1年目

年末時点残高:2950万円 × 1.0% = 295,000円

所得税:130,500円 - 295,000円 = -165,000円 → この年の所得税は0円

所得税から控除できない分を住民税で控除

住民税:235,500円 - 住民税の控除上限:135,000円 = 100,500円 → 来年の住民税は100,500円

結果
住宅ローン返済1年目は、265,500円の税金負担が軽減されました。

これが10年間続きます。

※住宅ローンの返済が続くにつれて住宅ローンの年末時点残高は減っていくため、住宅ローンの控除額も毎年少しずつ減っていきます。

簡単な住宅ローン控除額の計算方法

住宅ローンの借入条件(借入額・金利)を入力して、住宅ローン借入開始年月の「借入開始年月を設定する」にチェックを入れます。

住宅ローン控除居住年度設定を選択します。

「シミュレーション実行」ボタンをクリックします。

住宅ローン控除額が計算されます。


すまい給付金

すまい給付金とは

消費税率引上げによる住宅取得者の負担軽減のために創設された制度のこと

概要

収入が一定以下の方がマイホームを取得した場合、もしくは住宅ローンを利用しないで現金でマイホームを取得した場合に一定額の給付金が受け取れます。

主な対象者

  • 返済期間が5年以上の住宅ローンを利用している方
  • 住宅の所有者:不動産登記上の持分保有者
  • 住宅の居住者:住民票において、取得した住宅への居住が確認できる者
  • 収入が一定以下の方(消費税8%:年収510万円以下、消費税10%:年収775万円以下)
  • 現金でマイホームを取得した方で50歳以上の方(消費税10%:年収650万円以下)

給付対象となる住宅要件

新築物件
  • 床面積50㎡以上
  • 施行時の第三者の現場検査(例:住宅瑕疵担保責任保険加入住宅)

(現金取得者の場合、下記追加)

  • 50歳以上
  • 一定の性能確保(例:フラット35Sの基準)
中古物件
  • 床面積50㎡以上
  • 現行の耐震基準を満たす住宅
  • 売買時の第三者の現場検査(例:既存住宅瑕疵担保責任保険加入住宅)

(現金取得者の場合、下記追加)

  • 50歳以上

給付額

消費税収入額給付基礎額
8%~425万円
(所得割額:6.89万円)
30万円
8%425万円超~475万円以下
(所得割額:6.89万円超~8.39万円以下)
20万円
8%475万円超~510万円以下
(所得割額:8.39万円超~9.38万円以下)
10万円
10%~450万円
(所得割額:7.60万円)
50万円
10%450万円超~525万円以下
(所得割額:7.60万円超~9.79万円以下)
40万円
10%525万円超~600万円以下
(所得割額:9.79万円超~11.90万円以下)
30万円
10%600万円超~675万円以下
(所得割額:11.90万円超~14.06万円以下)
20万円
10%675万円超~775万円以下
(所得割額:14.06万円超~17.26万円以下)
10万円

計算方法

都道府県民税の所得割額に応じて、給付基礎額を決定

給付額 = 給付基礎額 × 持分割合(登記事項で確認)

計算例

年収500万円の方、持分割合100%

給付額 = 10万円 × 100% = 10万円


投資型減税

投資型減税とは

住宅ローンを利用せずに自己資金のみで物件を取得する際に利用できる税制優遇制度のこと

概要

「長期優良住宅」「低炭素住宅」を現金で購入した場合に所得税から控除されます。

対象物件長期優良住宅
低炭素住宅
居住年平成26年4月~33年12月
控除対象限度額650万円
控除率10.0%
控除期間10年
所得税控除上限/年65万円
繰越1年で控除しきれない場合は翌年の所得税からも控除可能

計算方法

控除額 = 掛かり増し費用(43,800円) × 床面積(㎡) × 10%

計算例

床面積100㎡の
低炭素住宅を現金で購入した場合

43,800円 × 100㎡ × 10% = 438,000円

毎年10年間、438,000円が所得税から控除されます。


住宅取得等資金の贈与税の非課税

住宅取得等資金の贈与税の非課税とは

父母や祖父母から贈与を受けて住宅を購入した場合、一定の金額までの贈与税が非課税になる制度のこと

概要

贈与を受けて住宅を購入すれば、一定額までは贈与税が非課税になります。将来、相続税を支払う財産をお持ちの方の場合は相続税を軽減することができます。

主な対象者の条件

  • 贈与を受けた時に受贈者が日本国内に住所を有していること
  • 贈与者は受贈者の直系尊属「父母、祖父母」であること
  • 受贈者は20歳以上であること
  • 受贈者は贈与を受けた時の所得金額が2,000万円以下であること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を住宅購入に充てること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住を開始すること
  • 受贈者の配偶者、親族からの住宅購入でないこと

非課税上限

消費税契約締結日一般住宅省エネ住宅
8%~平成27年12月31日1,000万円1,500万円
8%平成28年1月1日~平成32年3月31日700万円1,200万円
8%平成32年4月1日~平成33年3月31日500万円1,000万円
8%平成33年4月1日~平成33年12月31日300万円800万円
10%平成31年4月1日~平成32年3月31日2,500万円3,000万円
10%平成32年4月1日~平成33年3月31日1,000万円1,500万円
10%平成33年4月1日~平成33年12月31日700万円1,200万円

参考:相続税

課税価格の合計額 - 基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数) =  課税遺産総額

相続税 = 課税遺産総額 × 税率 - 控除額

相続税税率
法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

その2.「適用条件をクリアできているのか?」確実なチェックをする

意外と多いのが制度を正しく理解していないがゆえに

man
「住宅ローン控除が利用できるものだと思っていたら・・・床面積が足りていなかった。」
「住宅ローン控除が利用できるものだと思っていたら・・・借入期間8年の住宅ローンでは対象外だった。」
「住宅ローン控除が利用できるものだと思っていたら・・・確定申告を忘れて利用できなかった。」
「住宅取得等資金の贈与税の非課税が利用できるものと思っていたら・・・年収2000万円以上は対象外だった。」
「すまい給付金がもらえるものと思っていたら・・・第三者の現場検査を受けていなかった。」

という「適用条件の確認が不十分で税制優遇が適用されない」ことはかなり多いのです。

concierge
これを回避するためには下記の確認を並行で行うことが重要になります。

1.自分で「国税庁のウェブサイト」で「適用条件(要件)」を確認する

国税庁のウェブサイトは異常なぐらいわかりにくいので、根負けして個人のブログや詳しいサイトで調べようとしてしまいがちですが、個人のブログや情報サイトの場合、「情報が最新に更新されているのか?」「備考などの抜け漏れがないのか?」確認することができません。

concierge
慎重を期すのであれば、多少面倒でも、「国税庁のウェブサイト」で「適用条件(要件)」をチェックする必要があります。

2.販売している不動産会社に聞く

「この物件は住宅ローン控除は使えますか?」
「この物件は住宅ローン控除の認定住宅の方が適用されますか?」
「この物件はすまい給付金は使えますか?」
「この物件は投資型減税は使えますか?」

と購入する物件を販売した不動産業者の担当者に確認してみましょう。

concierge
不動産会社も、税制の専門家ではないため、過度に信じ切ってしまうことは避けなければなりませんが、営業トークになる「住宅ローン控除」「すまい給付金」「投資型減税」「住宅取得等資金の贈与税の非課税」が使えるかどうかぐらいは理解している方がほとんどなのです。

3.税理士に聞く

会社の経営者や個人事業主を営んでいれば税務申告などを依頼している税理士がいるはずです。サラリーマンの方でも、身内や懇意にしている税理士がいれば、税理士に相談するのが確実な方法です。

concierge
ただし、住宅ローン減税のためにコストをかけて新規で税理士に依頼するのは、せっかく減税でお得になるのに無駄なコストですので止めましょう。

4.税務署に聞く

一番確実な方法は税務署に聞くことです。

concierge
税務署であれば、丁寧に説明してくれます。
「適用条件」「適用に必要な書類」「適用に必要な書類の提出期限」の3つは必ず確認しておきましょう。

その3.減税効果も試算した上で物件を比較する必要がある

例えば

consultant
住宅ローンの控除額が大きい「認定住宅」の方が、それ以外の「一般住宅」よりお得か?

というとそういうわけではありません。

認定長期優良住宅・認定低炭素住宅というのは

設備や機能にコストをかけているから「認定」されるわけですから、そもそもの物件価格が高いのです。

同じエリアの物件で、年収400万円の方が

「一般住宅」:3000万円
「認定住宅」:3500万円

で悩んでいた場合、どちらも住宅ローン控除の控除率は1.0%で変わらないのです。

concierge
「認定住宅」は「一般住宅」よりも、最大控除額(上限)が広いだけなので、年収400万円の方の所得税では、「認定住宅」を選ぶ税制優遇上のメリットはないのです。
当然、「認定住宅」という良質な物件で暮らしたいという希望があれば、高額な「認定住宅」を選べば良いのですが、住宅ローンの控除額を増やす目的で「認定住宅」を選ぶのは意味がないのです。

その4.住宅ローン減税があるから、繰り上げ返済しないは大きな間違え

man
住宅ローン減税は、住宅ローンの年末残高×1.0%なんでしょ?
だとしたら、はじめの10年間は繰り上げ返済しないで11年目から繰上返済した方が良いでしょ?年末残高減らないから。

このように考える方も少なくありません。

concierge
大きな間違えです。
住宅ローン減税があったとしても、どんどん繰り上げ返済をして元本を減らしてしまった方が総返済額は軽減するのです。

試算

3000万円の借入、金利1.0%、控除額全額が所得税から減税できるものとして試算

毎月2万円の繰り上げ返済を借入1か月目から10年実行する場合

借入額:30,000,000円
総返済額:35,189,200円

住宅ローン控除額:2,528,398円

総負担額:35,189,200円 - 2,528,398円 = 32,660,802円

毎月2万円の繰り上げ返済を住宅ローン減税が終わった借入11年目から10年実行する場合

借入額:30,000,000円
総返済額:35,331,949円

住宅ローン控除額:2,636,103円

総負担額:35,331,949円 - 2,636,103円 = 32,695,846円

たしかに10年間は繰り上げ返済を我慢した方が「住宅ローン控除額」は増えますが、はじめから繰り上げ返済をしてしまった方が元本が早く減るため総返済額が下がります。

差し引きすると「はじめから繰り上げ返済をした方がお得」という結果になるのです。

concierge
住宅ローン控除の控除効果よりも、元本を早く減らしたことによる利息削減効果の方が大きいということです。

その5.意外に使えるのは相続税対策の「住宅取得等資金の贈与税の非課税」制度

住宅ローンに関する税制優遇制度としては

  • 住宅ローン減税
  • すまい給付金

が注目されてしまいますが、意外と税金が軽減できるのは「住宅取得等資金の贈与税の非課税」制度です。

concierge
ご存じかわかりませんが、相続税は平成27年1月1日より増税されました。
以前の基礎控除額

5000万円 + 1000万円 × 法定相続人

改正後の基礎控除額

3000万円 + 600万円 × 法定相続人

例えば、子供二人、配偶者が存命で亡くなった場合

以前

5000万円 + 1000万円 × 3名 = 8000万円よりも相続財産があると相続税が発生する

改正後

3000万円 + 600万円 × 3名 = 4800万円よりも相続財産があると相続税が発生する

concierge

相続税の支払い対象者が倍増する増税なのです。

都内に一戸建てでも持っていれば、現金がなくても4800万円の相続資産というハードルは簡単に超えてしまうのです。

相続税

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

非課税上限

消費税契約締結日一般住宅省エネ住宅
8%~平成27年12月31日1,000万円1,500万円
8%平成28年1月1日~平成32年3月31日700万円1,200万円
8%平成32年4月1日~平成33年3月31日500万円1,000万円
8%平成33年4月1日~平成33年12月31日300万円800万円
10%平成31年4月1日~平成32年3月31日2,500万円3,000万円
10%平成32年4月1日~平成33年3月31日1,000万円1,500万円
10%平成33年4月1日~平成33年12月31日700万円1,200万円

ですから、

「住宅取得等資金の贈与税の非課税」制度を使って、省エネ住宅で1200万円の贈与を生前に行って非課税にしておけば

1200万円 × 10%~55% = 税負担の軽減

ということになります。

仮に相続税率が20%だとしたら、240万円の減税効果ですから、住宅ローン控除と匹敵する控除額になるのです。

concierge
住宅ローンを検討するときには、住宅ローン控除だけでなく、「住宅取得等資金の贈与税の非課税」制度も利用する価値があるかどうか?検討することをおすすめします。

まとめ

住宅ローン控除(住宅ローン減税)・住宅ローン税制優遇の100%活用法

  1. 住宅ローンで使える最新の税制優遇を常にチェックする
  2. 「適用条件をクリアできているのか?」確実なチェックをする
  3. 減税効果も試算した上で物件を比較する必要がある
  4. 住宅ローン減税があるから、繰り上げ返済しないは大きな間違え
  5. 意外に使えるのは相続税対策の「住宅取得等資金の贈与税の非課税」制度
concierge

住宅ローンの税制優遇は使わなければ「損」というものが多いです。

使えるものはすべて使って、住宅購入負担を軽減し、その分で住宅ローンの早期完済を目指しましょう。