住宅ローンの審査に不安を感じる方、住宅ローン審査に落ちてしまった方は、「住宅ローンの審査基準とその合格ラインを知りたい」と思う方も多いのではないでしょうか。今回は「住宅ローンの審査基準ベスト20と審査項目ごとの合格ライン」について解説します。
住宅ローンの審査基準ベスト20
住宅ローン審査で利用している審査項目(n=1253)
重要度 | 審査項目 | 回答数 | 構成比 |
---|---|---|---|
1位 | 完済時年齢 | 1.238 | 98.8% |
2位 | 借入時年齢 | 1.223 | 97.6% |
3位 | 健康状態 | 1.223 | 97.6% |
4位 | 勤続年数 | 1.218 | 97.2% |
5位 | 担保評価 | 1.218 | 97.2% |
6位 | 年収 | 1.183 | 94.4% |
7位 | 連帯保証 | 1.171 | 93.5% |
8位 | 金融機関の営業エリア | 1.126 | 89.9% |
9位 | 返済負担率 | 1.103 | 88.0% |
10位 | 融資可能額(融資率)①購入の場 合 | 1.019 | 81.3% |
11位 | 雇用形態 | 980 | 78.2% |
12位 | 融資可能額(融資率)②借換えの 場合 | 956 | 76.3% |
13位 | カードローン等の他の債務の状況 や返済履歴 | 812 | 64.8% |
14位 | 国籍 | 775 | 61.9% |
15位 | 申込人との取引状況 | 615 | 49.1% |
16位 | 業種 | 368 | 29.4% |
17位 | 家族構成 | 289 | 23.1% |
18位 | 所有資産 | 256 | 20.4% |
19位 | 雇用先の規模 | 209 | 16.7% |
20位 | 性別 | 202 | 16.1% |
21位 | その他 | 83 | 6.6% |
出典:国土交通省 住宅局:平成28年民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書
http://www.mlit.go.jp/report/press/index.html
この審査項目を見るときの注意点
「回答率が高い = 重要な審査項目」ではない!
この調査では、国土交通省があらかじめ用意した審査項目に対して
というような質問をしています。
- 1位:完済時年齢 98.8%
ということは、ほとんどの銀行は住宅ローン審査で「完済時年齢」を審査しているということになりますが、それが『住宅ローン審査で一番重要な審査項目は「完済時年齢」だ』ということにはなりません。
「完済時年齢」はほとんどの方がクリアできてしまう審査項目だからです。
重要度であれば、回答割合は「完済時年齢」よりは低いものの
- 9位:返済負担率 88.0%
の方が大きいのです。
審査項目ごとの合格ライン(審査基準)
【重要度:高】返済負担率
返済負担率とは
を言います。
で計算されます。
返済負担率は低ければ低いほど住宅ローン審査の評価は高くなります。
返済負担率の審査基準内訳
具体的な内容(複数回答) | 回答数 | 割合 | カバー率 |
---|---|---|---|
50%以内 | 1 | 0.9% | 0.9% |
45%以内 | 24 | 20.5% | 21.4% |
40%以内 | 30 | 25.6% | 47.0% |
35%以内 | 38 | 32.5% | 79.5% |
30%以内 | 20 | 17.1% | 96.6% |
20%以内 | 4 | 3.4% | 100.0% |
合格ライン(審査基準)
- 返済負担率 20%以内 → 99.1%の金融機関が審査通過
- 返済負担率 30%以内 → 96.6%の金融機関が審査通過
- 返済負担率 35%以内 → 79.5%の金融機関が審査通過
- 返済負担率 40%以内 → 47.0%の金融機関が審査通過
- 返済負担率 45%以内 → 21.4%の金融機関が審査通過
- 返済負担率 50%以内 → 0.9%の金融機関が審査通過
返済負担率の合格ライン(審査基準)は「35%以内」と考えれば良いでしょう。ただし、「30%以内」ならば、審査に通る金融機関は96.6%になります。
【重要度:高】融資可能額(融資率)
融資率とは
を言います。
時価ですので、借り換えの場合は、物件の購入時の価格ではなく、現在売却したらいくらになるのか?の物件価格で計算されます。
融資率は低ければ低いほど住宅ローン審査の評価は高くなります。
融資可能額(融資率)の審査基準内訳
新規借り入れの場合
具体的な内容(複数回答) | 回答数 | 割合 | カバー率 |
---|---|---|---|
80%以内 | 86 | 10.6% | 100.0% |
90%以内 | 22 | 2.7% | 89.4% |
100%以内 | 663 | 81.5% | 86.7% |
110%以内 | 24 | 3.0% | 5.2% |
120%以内 | 15 | 1.8% | 2.2% |
150%以内 | 3 | 0.4% | 0.4% |
合格ライン(審査基準)
- 融資率 80%以内 → 100.0%の金融機関が審査通過
- 融資率 90%以内 → 89.4%の金融機関が審査通過
- 融資率 100%以内 → 86.7%の金融機関が審査通過
- 融資率 110%以内 → 5.2%の金融機関が審査通過
- 融資率 120%以内 → 2.2%の金融機関が審査通過
- 融資率 150%以内 → 0.4%の金融機関が審査通過
借換えの場合
具体的な内容(複数回答) | 回答数 | 割合 | カバー率 |
---|---|---|---|
100%以内 | 206 | 36.8% | 100.0% |
150%以内 | 34 | 6.1% | 63.2% |
200%以内 | 267 | 47.7% | 57.1% |
300%以内 | 53 | 9.5% | 9.5% |
合格ライン(審査基準)
融資率 100%以内 → 100.0%の金融機関が審査通過
融資率 150%以内 → 63.2%の金融機関が審査通過
融資率 200%以内 → 57.1%の金融機関が審査通過
融資率 300%以内 → 9.5%の金融機関が審査通過
【重要度:中】完済時年齢
完済時年齢とは
を言います。
完済時年齢が高いと死亡率リスクも高まりますし、返済できる収入もなくなる可能性が高い為
完済時年齢は若ければ若いほど住宅ローン審査の評価は高くなります。
完済時年齢の審査基準内訳
具体的な内容(複数回答) | 回答数 | 割合 | カバー率 |
---|---|---|---|
85歳未満 | 51 | 4.6% | 4.6% |
80歳未満 | 986 | 89.6% | 94.2% |
75歳未満 | 51 | 4.6% | 98.8% |
70歳未満 | 12 | 1.1% | 99.9% |
なし | 1 | 0.1% | - |
合格ライン(審査基準)
- 完済時年齢 85歳未満 → 4.6%の金融機関が審査通過
- 完済時年齢 80歳未満 → 94.2%の金融機関が審査通過
- 完済時年齢 75歳未満 → 98.8%の金融機関が審査通過
- 完済時年齢 70歳未満 → 99.9%の金融機関が審査通過
【重要度:中】借入時年齢
借入時年齢とは
を言います。
若い人の方が働ける期間が長くなりますし、勤務先が倒産しても、転職することも容易なので
借入時年齢は若ければ若いほど住宅ローン審査の評価は高くなります。
借入時年齢の審査基準内訳
具体的な内容(複数回答) | 回答数 | 割合 | カバー率 |
---|---|---|---|
75歳未満 | 189 | 27.5% | 27.5% |
70歳未満 | 221 | 32.1% | 59.6% |
65歳未満 | 238 | 34.6% | 94.2% |
60歳未満 | 36 | 5.2% | 99.4% |
55歳未満 | 4 | 0.6% | 100.0% |
合格ライン(審査基準)
- 借入時年齢 75歳未満 → 27.5%の金融機関が審査通過
- 借入時年齢 70歳未満 → 59.6%の金融機関が審査通過
- 借入時年齢 65歳未満 → 99.2%の金融機関が審査通過
- 借入時年齢 60歳未満 → 99.4%の金融機関が審査通過
- 借入時年齢 55歳未満 → 100.0%の金融機関が審査通過
借入時年齢の合格ライン(審査基準)は「65歳未満」と考えれば良いでしょう。ただし、「70歳未満」でも、審査に通る金融機関は約6割あります。
【重要度:高】健康状態
健康状態によって「団信(団体信用生命保険)」に入れるかどうかが変わってきます。
民間銀行のほとんどは「団信加入が必須」であり、フラット35など一部の住宅ローンのみ「団信が任意加入(入らなくても良い)」になっています。
健康状態の審査基準内訳
具体的な内容(複数回答) | 回答数 | 割合 | カバー率 |
---|---|---|---|
団信加入が必要 | 1083 | 91.2% | - |
団信加入は不要 | 4 | 0.3% | - |
団信加入は選択可能 | 100 | 8.4% | - |
合格ライン(審査基準)
- 団信加入が必要 → 91.2%の金融機関が回答
- 団信加入が不要 → 0.3%の金融機関が回答
- 団信加入が選択可 → 8.4%の金融機関が回答
【重要度:中】勤続年数
勤続年数とは
勤続年数が長ければ長いほど、収入が安定していると考えられますし、年功序列の日本では年収が増えやすいのです。
勤続年数は長ければ長いほど住宅ローン審査の評価は高くなります。
勤続年数の審査基準内訳
具体的な内容(複数回答) | 回答数 | 割合 | カバー率 |
---|---|---|---|
3年以上 | 300 | 30.6% | 100.0% |
2年以上 | 58 | 5.9% | 69.4% |
1年以上 | 622 | 63.5% | 63.5% |
合格ライン(審査基準)
- 勤続年数 3年以上 → 100.0%の金融機関が審査通過
- 勤続年数 2年以上 → 69.4%の金融機関が審査通過
- 勤続年数 1年以上 → 63.5%の金融機関が審査通過
【重要度:低】年収
年収はそれほど重視されていません。
というのも、「年収が低くても、借入額が少額であれば問題ない。」という考え方で、「返済負担率」の方が重視されているからです。「年収」単体で評価するのではなく、「年収」と「借入額」のバランスで審査をしているのです。
年収は高ければ高いほど住宅ローン審査の評価は高くなります。
年収の審査基準内訳
具体的な内容(複数回答) | 回答数 | 割合 | カバー率 |
---|---|---|---|
100万以上 | 285 | 30.6% | 30.6% |
150万以上 | 566 | 60.9% | 91.5% |
200万円以上 | 64 | 6.9% | 98.4% |
250万以上 | 15 | 1.6% | 100.0% |
合格ライン(審査基準)
- 年収100万以上 → 30.6%の金融機関が審査通過
- 年収150万以上 → 91.5%の金融機関が審査通過
- 年収200万以上 → 98.4%の金融機関が審査通過
- 年収250万以上 → 100.0%の金融機関が審査通過
【重要度:中】雇用形態
雇用形態は、正社員の評価が高く設定されています。
- 契約が終了したら職がなくなる「契約社員」「派遣社員」
- 収入が安定しない「会社経営者、個人事業主」
は審査が厳しくなるのです。
雇用形態
具体的な内容(複数回答) | 回答数 | 割合 | カバー率 |
---|---|---|---|
派遣社員は対象外 | 356 | 60.3% | - |
契約社員は対象外 | 228 | 38.6% | - |
自営業者は対象外 | 6 | 1.0% | - |
合格ライン(審査基準)
- 派遣社員は対象外 → 60.3%の金融機関が回答
- 契約社員は対象外 → 38.6%の金融機関が回答
- 自営業者は対象外 → 1.0%の金融機関が回答
【重要度:高】担保評価
担保価値とは
住宅ローンは、万が一返済が滞った場合は、担保にしている物件を売却して、返済に充てるので銀行から見て、貸し倒れリスクが低い分、低金利になっているのです。
担保価値は高ければ高いほど住宅ローン審査の評価は高くなります。
担保評価の審査基準内訳
具体的な内容(複数回答) | 回答数 | 割合 | カバー率 |
---|---|---|---|
融資判断に影響 | 693 | 58.9% | - |
融資判断に影響せず | 76 | 6.5% | - |
融資判断の参考にする | 408 | 34.7% | - |
合格ライン(審査基準)
- 融資判断に影響 → 58.9%の金融機関が回答
- 融資判断に影響せず → 6.5%の金融機関が回答
- 融資判断の参考にする → 34.7%の金融機関が回答
【重要度:高】連帯保証
住宅ローンでは、ほとんどの銀行が「保証会社」を採用しています。
銀行の審査よりも、万が一、住宅ローンの契約者が返済を継続できなくなった場合に、債務を肩代わりする保証会社の審査の方が厳しいのです。
連帯保証の審査基準内訳
具体的な内容(複数回答) | 回答数 | 割合 | カバー率 |
---|---|---|---|
系列保証会社の保証が必要 | 700 | 71.1% | - |
連帯保証不要 | 41 | 4.2% | - |
外部保証会社の保証 が必要 | 244 | 24.8% | - |
合格ライン(審査基準)
- 系列保証会社の保証が必要 → 71.1%の金融機関が回答
- 連帯保証不要 → 4.2%の金融機関が回答
- 外部保証会社の保証が必要 → 24.8%の金融機関が回答
【重要度:低】金融機関の営業エリア
全国展開しているネット銀行、都市銀行であれば、営業エリアを考える必要はありません。
地方銀行の場合は、そのエリアに居住しているか?勤務しているか?で利用できるかどうかが変わってきます。
金融機関の営業エリアの審査基準内訳
具体的な内容(複数回答) | 回答数 | 割合 | カバー率 |
---|---|---|---|
エリア内に居住 | 931 | 61.2% | - |
エリア内に勤務 | 334 | 38.8% | - |
合格ライン(審査基準)
- エリア内に居住 → 61.2%の金融機関が回答
- エリア内に勤務 → 38.8%の金融機関が回答
「住宅ローン審査では金融機関の営業エリア内に居住していることが条件」と考えておくべきでしょう。
【重要度:低】国籍
外国籍の方は住宅ローンは借りにくい状態になっています。少なくとも「永住許可」が必要です。海外に逃げられたら、回収するすべを銀行が持たないからなのです。
国籍の審査基準内訳
具体的な内容(複数回答) | 回答数 | 割合 | カバー率 |
---|---|---|---|
日本国籍 | 480 | 52.8% | - |
永住許可 | 378 | 41.6% | - |
日本国籍の配偶者 | 51 | 5.6% | - |
合格ライン(審査基準)
- 日本国籍 → 52.8%の金融機関が回答
- 永住許可 → 41.6%の金融機関が回答
- 日本国籍の配偶者 → 5.6%の金融機関が回答
【重要度:低】申込人との取引状況
申込んだ方が銀行と取引があれば、審査の評価は高くなります。
とくに「給料の振込口座」で利用していれば、収入の状況がわかることと、いざという時にいち早く差し押さえられるので審査は通りやすくなるのです。
【重要度:低】業種
業種によっても、審査の可否は変わってきます。
弁護士、公務員、医者など、安定性の高い業種であれば、審査の評価は高くなります。
建設業、風俗、娯楽業など、安定性の低い業種であれば、審査の評価は低くなります。
【重要度:低】家族構成
子供が多いと、生活費が増えてしまい、住宅ローン返済を圧迫してしまうので審査の評価は低くなります。
【重要度:低】所有資産
所有資産が高額であれば、万が一のときにはその資産で住宅ローンの返済を継続できるので、審査の評価は高くなります。
【重要度:中】雇用先の規模
勤務先企業の会社規模が大きければ、収入も増えますし、倒産のリスクも少なくなります。転職もしやすいなどの理由もあり、審査の評価は高くなります。
【重要度:低】性別
性別はそれほど重視されません。ただし、夫婦なのに奥さんが契約者になるケースなどは、「旦那さんは借りられない理由があるのでは?」と勘繰られてしまう可能性はあります。
審査の甘い住宅ローンランキング
まとめ
住宅ローンの審査項目ごとの合格ライン(審査基準)をチェックすれば
審査落ちしたとしても
審査落ちの理由を推察することができます。
原因がわかれば、対処することができるのです。
例えば
- 返済負担率が合格ライン以下 → 借入額を減らして返済負担率を下げる
- 融資率が合格ライン以下 → 親から援助してもらって頭金を増やして融資率を下げる
という形をとって、再度別の住宅ローンに申し込めば、審査に通る可能性が上がります。
- 住宅ローン審査に不安を感じる方
- 住宅ローン審査に落ちた方
は、住宅ローンの審査項目ごとの合格ライン(審査基準)をチェックして、問題がある審査項目がある場合には、合格ラインをクリアできるように改善しましょう。
「住宅ローン審査項目は、どのくらいが合格ラインなの?」