住宅ローン変動金利リスクを徹底検証。変動金利と固定金利の分岐点は金利が何%上昇したとき?

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「住宅ローンの変動金利には金利上昇リスクがあるというけど、どのくらいのリスクなのかよくわからない。」
「金利が何%上昇すると、変動金利よりも固定金利の方が有利になるのだろうか?」

という方も多いかと思います。今回は「住宅ローン変動金利のリスクを正しく理解する方法」について解説します。

過去の住宅ローンの変動金利推移から「どのくらい金利が上昇する可能性があるのか?」を知る

住宅ローン主要金利指標の推移

住宅ローンの変動金利は「無担保コールレート(青色)」に連動します。

  • 1990年代前半:8.0%前後
  • 1990年代後半:2.0%前後
  • 2000年代前半:0.0%前後
  • 2000年代後半:0.0%前後
  • 2010年代後半:0.0%前後
    ・・・

とバブル真っ只中の1990年代前半は金利8.0%という高金利だったのです。

バブル期とは

1980年代後半から1990年代前半の好況期のこと。1986年(昭和61年)12月から1991年(平成3年)2月までのバブル景気と呼ぶ
concierge

筆者は、今の日本では

  • 人口が減少し続ける見込みであること
  • 超高齢化社会が進み「生産年齢人口(15歳~64歳)」も減少中であること

という状況下にあり、よほど出生率が急激に上昇しない限りは、バブル期のような好景気は訪れないと考えています。

つまり、

住宅ローンの変動金利で考慮しなければならない金利上昇は、好景気になっても4.0%程度

だと考えます。

だとすれば

住宅ローンの変動金利リスクを正しく理解するためには、金利上昇4.0%の時の返済額上昇の想定をしておけば良い

ということになるのです。

そもそも、1999年から執筆時点の2017年まで、約20年はずっと「無担保コールレート(青色)」は0.0%前後で推移しているのです。金利は景気によって変動するので、景気回復によって金利が上昇する可能性はあるものの、バブル期並みの金利上昇はほぼ起こりえないと考えられるのです。

住宅ローン変動金利の金利上昇シミュレーション

検証した金利上昇シナリオ

  1. 金利上昇なし
  2. 10年後金利1.0%上昇
  3. 20年後金利1.0%上昇
  4. 10年後金利0.5%上昇 → 20年後金利0.5%上昇
  5. 10年後金利2.0%上昇
  6. 20年後金利2.0%上昇
  7. 10年後金利1.0%上昇 → 20年後金利1.0%上昇
  8. 10年後金利3.0%上昇
  9. 20年後金利3.0%上昇
  10. 10年後金利1.5%上昇 → 20年後金利1.5%上昇
  11. 10年後金利4.0%上昇
  12. 20年後金利4.0%上昇
  13. 10年後金利2.0%上昇 → 20年後金利2.0%上昇
  14. (比較対象)全期間固定金利

検証条件

  • 住宅ローン変動金利:0.50%
  • 借入期間:35年
  • (比較対象)全期間固定金利:2.0%
  • 変動金利の金利上昇は5年で125%が上限

利用したシミュレーションツール

金利上昇シナリオ:金利上昇なし

元金:30,000,000円
利息:2,707,560円
総返済額:32,707,560円
毎月の返済額(最大):77,876円

金利上昇シナリオ:10年後金利1.0%上昇

元金:30,000,000円
利息:5,689,328円
総返済額:35,689,328円
毎月の返済額(最大):87,815円

金利上昇シナリオ:20年後金利1.0%上昇

元金:30,000,000円
利息:3,776,399円
総返済額:33,776,399円
毎月の返済額(最大):83,814円

10年後金利0.5%上昇 → 20年後金利0.5%上昇

元金:30,000,000円
利息:4,723,782円
総返済額:34,723,782円
毎月の返済額(最大):85,827円

10年後金利2.0%上昇

元金:30,000,000円
利息:8,920,549円
総返済額:38,920,549円
毎月の返済額(最大):98,896円

20年後金利2.0%上昇

元金:30,000,000円
利息:4,895,498円
総返済額:34,895,498円
毎月の返済額(最大):96,525円

10年後金利1.0%上昇 → 20年後金利1.0%上昇

元金:30,000,000円
利息:6,861,852円
総返済額:36,861,852円
毎月の返済額(最大):94,329円

10年後金利3.0%上昇

元金:30,000,000円
利息:12,713,251円
総返済額:42,713,251円
毎月の返済額(最大):114,699円

20年後金利3.0%上昇

元金:30,000,000円
利息:6,064,362円
総返済額:36,064,362円
毎月の返済額(最大):90,031円

10年後金利1.5%上昇 → 20年後金利1.5%上昇

元金:30,000,000円
利息:9,122,866円
総返済額:39,122,866円
毎月の返済額(最大):103,389円

10年後金利4.0%上昇

元金:30,000,000円
利息:17,347,227円
総返済額:47,347,227円
毎月の返済額(最大):138,117円

20年後金利4.0%上昇

元金:30,000,000円
利息:7,422,030円
総返済額:37,422,030円
毎月の返済額(最大):107,429円

10年後金利2.0%上昇 → 20年後金利2.0%上昇

元金:30,000,000円
利息:11,542,312円
総返済額:41,542,312円
毎月の返済額(最大):113,461円

(比較対象)全期間固定金利

元金:30,000,000円
利息:11,738,914円
総返済額:41,738,914円
毎月の返済額(最大):99,379円

検証結果比較

検証パターン 金利 10年後金利 20年後金利 毎月返済額(最大) 総返済額 金利上昇なしとの比較 全期間固定金利との比較
金利上昇なし 0.50% 0.50% 0.50% 77,876円 32,707,560円 +0円 -9,031,354円
10年後金利1.0%上昇 0.50% 1.50% 1.50% 87,815円 35,689,328円 +2,981,768円 -6,049,586円
20年後金利1.0%上昇 0.50% 0.50% 1.50% 83,814円 33,776,399円 +1,068,839円 -7,962,515円
10年後金利0.5%上昇 → 20年後金利0.5%上昇 0.50% 1.00% 1.50% 85,827円 34,723,782円 +2,016,222円 -7,015,132円
10年後金利2.0%上昇 0.50% 2.50% 2.50% 98,896円 38,920,549円 +6,212,989円 -2,818,365円
20年後金利2.0%上昇 0.50% 0.50% 2.50% 96,525円 34,895,498円 +2,187,938円 -6,843,416円
10年後金利1.0%上昇 → 20年後金利1.0%上昇 0.50% 1.50% 2.50% 94,329円 36,861,852円 +4,154,292円 -4,877,062円
10年後金利3.0%上昇 0.50% 3.50% 3.50% 114,699円 42,713,251円 +10,005,691円 +974,337円
20年後金利3.0%上昇 0.50% 0.50% 3.50% 90,031円 36,064,362円 +3,356,802円 -5,674,552円
10年後金利1.5%上昇 → 20年後金利1.5%上昇 0.50% 2.00% 3.50% 103,389円 39,122,866円 +6,415,306円 -2,616,048円
10年後金利4.0%上昇 0.50% 4.50% 4.50% 138,117円 47,347,227円 +14,639,667円 +5,608,313円
20年後金利4.0%上昇 0.50% 0.50% 4.50% 107,429円 37,422,030円 +4,714,470円 -4,316,884円
10年後金利2.0%上昇 → 20年後金利2.0%上昇 0.50% 2.50% 4.50% 113,461円 41,542,312円 +8,834,752円 -196,602円
(比較対象)全期間固定金利 2.00% 2.00% 2.00% 99,379円 41,738,914円 +9,031,354円 +0円

重要なポイント

金利上昇と返済負担増の関係

  • 借入期間中に金利1.0%上昇 → 100万~300万円の返済負担増
  • 借入期間中に金利2.0%上昇 → 200万~600万円の返済負担増
  • 借入期間中に金利3.0%上昇 → 300万~1000万円の返済負担増
  • 借入期間中に金利4.0%上昇 → 500万~1500万円の返済負担増

となります。

金利が4.0%上昇する最悪のシナリオでは、いつ金利が上昇するのか?にも大きく影響されますが、1000万円を超える返済額の上昇が発生してしまうのです。

金利上昇のタイミングと返済負担増の関係

同じ金利2.0%上昇でも

  • 10年後金利2.0%上昇 → 620万円の返済負担増
  • 20年後金利2.0%上昇 → 210万円の返済負担増
  • 10年後金利1.0%上昇、20年後金利1.0%上昇 → 410万円の返済負担増
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金利の上昇のタイミングによって、返済負担の増加の差が大きくなります。元本が大きいときに金利が上昇してしまうと、返済額の増加に与えるインパクトが大きいのです。

これは

変動金利を選ぶなら、できるだけ早期に借入額を減らす方が良い

ということの証左でもあります。

変動金利と全期間固定金利の返済負担比較

また、変動金利と全期間固定金利を比較すると

全期間固定金利が変動金利よりもお得になったのは

  • 10年後金利3.0%上昇 → 100万円全期間固定金利の方がお得
  • 10年後金利4.0%上昇 → 560万円全期間固定金利の方がお得

の2つだけでした。

  • 20年後金利4.0%上昇 → 430万円変動金利の方がお得
  • 10年後金利2.0%上昇、20年後金利2.0%上昇 → 20万円変動金利の方がお得

というのであれば、まだ変動金利の方がお得になるということです。

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ここら辺が金利上昇リスクと全期間固定金利にすべきかどうかの分岐点と考えて良いでしょう。
  • 10年で金利が3.0%以上上昇すると考える → 全期間固定金利がお得
  • 10年で金利が3.0%も上昇しないと考える → 変動金利がお得

なのです。

もう一度、過去の金利推移を見てください。

住宅ローン主要金利指標の推移

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過去20年間は無担保コールレートが0.0%前後で推移しています。
これが1993年以前の状態になるのであれば、金利が3.0%上昇するということです。

3.0%以上の金利上昇が10年以内にあるかないか?が変動金利と固定金利のどちらを選ぶべきかの境界線なのです。

住宅ローン変動金利のその他のリスク

精神的な不安

住宅ローンの変動金利を選ぶ場合には

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「いつ金利が上昇してしまうのか?びくびくしてニュースを見てしまう。」

という心理面の負担もあります。

多くの方は、借入直後は気にするようですが、徐々に慣れていってしまうようです。しかし、ひとたび

「住宅ローン金利が大幅に上昇」

というニュースが流れれば、たちまち不安にかられてしますのではないでしょうか?

精神的な負荷がかかってしまうのも、変動金利のリスクと言えます。

返済計画が立てにくい

全期間固定金利であれば、借入した月から、35年後の月まで返済額は変わりません。

しかし、変動金利の場合は

5年で返済額の上昇は125%まで

という制限がかかっているものの、半年ごとに金利が見直され、返済額も変わってしまうのです。毎月の返済額がころころ変わってしまうため、返済計画は立てにくいのです。

住宅ローンが払えなくなるリスク

手取り月収:30万円の方が

全期間固定金利:10万円の返済をしていた場合

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多少、返済負担は大きいものの、それ以上、返済額の上昇はないので、給料が変わらなければ返済できないということはありません。

しかし、

変動金利:8万円の返済をしていた場合

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このままでは、全く問題はないのですが、仮に金利が急上昇し、返済額が12万円に上がってしまったら、大分返済負担は重くなってしまうのです。

変動金利を選択する人は、このはじめの8万円で返済計画を立ててしまう方が少なくありません。「8万円だと思っていたのが12万円に上昇して、住宅ローンが払えなくなり、マイホームを手放さなければならなくなった。」という方も少なくないのです。

少なくとも、今回のシミレ―ションぐらいの金利上昇シナリオは返済計画に組み込んでおくべきなのです。

10年後に金利が4.0%上昇したら

毎月の返済額も、「77,876円」→「138,117円」まで上昇してしまうのです。

最新の住宅ローン金利動向と金利予想はこちら

まとめ

住宅ローンの変動金利で考慮すべき金利上昇は

4.0%の金利上昇

が最悪の金利上昇シナリオと考えて良いでしょう。

金利上昇による返済額の増加シミュレーション

  • 借入期間中に金利1.0%上昇 → 100万~300万円の返済負担増
  • 借入期間中に金利2.0%上昇 → 200万~600万円の返済負担増
  • 借入期間中に金利3.0%上昇 → 300万~1000万円の返済負担増
  • 借入期間中に金利4.0%上昇 → 500万~1500万円の返済負担増

と、最悪の金利4.0%上昇のシナリオでは、1500万円も返済負担が増えてしまう可能性があるのです。

全期間固定金利と変動金利を比較すると

  • 10年後金利3.0%上昇 → 100万円全期間固定金利の方がお得
  • 10年後金利4.0%上昇 → 560万円全期間固定金利の方がお得

以外は、変動金利の方が有利なので、返済負担だけで見れば、変動金利の方が優位性が高いと考えられます。

ただし、住宅ローンの変動金利には

  • 金利上昇に対して不安な日々を送る必要がある
  • 返済計画に組み込みにくい
  • 金利上昇による返済額上昇を計画に入れてないと、住宅ローンが払えなくなるリスク

があります。

concierge

住宅ローンの変動金利を選ぶ際には「金利上昇リスク」を織り込みながら、返済計画を立てることが重要です。

また、早期に元本を減らすことができれば、変動金利の金利上昇リスクは減らせるので、できるだけ繰り上げ返済を早めに行うことをおすすめします。

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