大手損害保険会社4社が10月から火災保険の保険料jの値上げを発表した。東京海上日動火災、三井住友海上火災、損保ジャパン日本興亜、あいおいニッセイ同和が一斉に値上げに踏み切る方針です。値上げは2015年以来、4年ぶりの値上げになります。
なぜ、火災保険料を値上げをするのか?
火災保険料の基本の考え方は
損害と保険金額から計算される「純保険料」
保険会社の事業費用から計算される「付加保険料」
保険料 = 「純保険料」 + 「付加保険料」
になります。
「純保険料」は
が同じ状態になる形で計算されます。
という仕組みです。
今回の値上げの要因は「台風など自然災害による保険金の支払いの増加」とされています。
台風などの自然災害による風災被害・水災被害の保険金支払い件数、保険金支払額が増加していることが要因となっています。
一般社団法人 日本損害保険協会の「元受正味保険料」「元受正味保険金」を見てみると
出典:一般社団法人 日本損害保険協会
- 元受正味保険料:保険会社の収入
- 元受正味保険金:保険会社の支払い
2018年4月~12月/火災保険
- 元受正味保険料:1兆1800億円(前年度増減6.3%増)
- 元受正味保険金:999億円(前年度増減96.6%増)
ですから、保険会社の収入に対して、支払額がの前年度増減が大幅に上昇していることがわかります。
これが大きな要因となって、損害保険会社は大幅な値上げに踏み切ったことになります。
火災保険料値上げの内容
値上げ幅は、全国の地域によって差がありますが・・・
- 東京海上日動火災:6~7%アップ
- 三井住友海上火災:6~9%アップ
- 損保ジャパン日本興亜:5~7%アップ
- あいおいニッセイ同和:6~9%アップ
と最大9.0%の保険料の値上げになります。
保険料の値上げは、水害の発生リスクに応じて値上げされるため、地域ごとに値上げ幅が異なるのです。
なぜ、大手損害保険会社が4社同時に値上げに踏み切ったのか?
と思う方も多いと思いますが・・・
この値上げの要因といなっているのは
「損害保険料率算出機構による参考純率の改定」です。
損害保険料率算出機構とは
を言います。
会員保険会社から収集した大量の契約・支払データのほか、各種の外部データも活用して火災保険の参考純率を算出し、会員保険会社に提供しています。
保険会社は、損害保険料率算出機構の設定する「火災保険の参考純率」をもとに火災保険料を決定しているのです。
そのため、「火災保険の参考純率」が値上げされれば、加盟している保険会社も、同様に値上げをする仕組みとなっています、。
「損害保険料率算出機構による参考純率の改定」は定期的に行われているのですが・・・
2018年5月21日に金融庁長官へ届けだされたものが今回の参考純率の改定です。
【火災保険】参考純率改定のご案内
2018年5月21日金融庁長官への届出、2018年6月15日適合性審査結果通知受領
改定の背景
前回の改定以降、2013年度の大規模な雪災(関東甲信に被害)や2015年度の台風15号(九州に被害)などにより、保険金の支払いが増加しています。
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冬季の凍結や老朽化などで水道管等に生じた事故による水濡れ損害の保険金の支払いが増加しています。
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改定率の例
出典:損害保険料率算出機構
この【火災保険】参考純率改定で、平均5.5%の値上げが設定されたため、各損害保険会社は、「純保険料」の部分を5.5%、合わせて「付加保険料」の部分を各損害保険会社の事業コスト分の値上げとして、値上げに踏み切ったのです。
「純保険料」は、「損害保険料率算出機構の参考純率」をもとに決められるので、各社が足並みをそろえて値上げした形になります。
「値上げ率もほぼ同じだし、カルテルじゃないの?」