今回はお得なフラット35の種類の「フラット35子育て支援型・地域活性化型」について、金利・金利比較・適用基準(条件)・メリットデメリットを解説します。
「フラット35子育て支援型・地域活性化型」とは?
「フラット35子育て支援型・地域活性化型」とは
を言います。
フラット35を提供している住宅金融支援機構は、政府系金融機関ですので
政府の意向である
- 子育て対策の推進
- 地域活性化
を実現すべく、地方公共団体と連携して
「子育て対策の推進」「地域活性化」に当てはまる形でフラット35を借りる方には「金利を一定期間引き下げる」という優遇制度をを作ったのです。
地方公共団体が実施する事業の概要
「フラット35子育て支援型」
- 若年子育て世帯が住宅を取得する場合
- 若年子育て世帯と親世帯が同居または近居するために住宅を取得する場合
→ フラット35借入金利を一定期間引き下げる
「フラット35地域活性化型」
- UIJターンを契機として、住宅を取得する場合
(UIJターンとは、大都市圏の居住者が地方に移住する動きのこと) - 居住誘導区域外から居住誘導区域内に移住する際に住宅を取得する場合(コンパクトシティ形成)
(コンパクトシティ形成とは、都市機能の近接化による歩いて暮らせる集約型まちづくりの実現に向け、拡散した都市機能を集約させ、生活圏の再構築を進めていくこと) - 空き家バンクに登録されている住宅を取得する場合(空き家活用)
(空き家バンクとは、売買や賃貸を希望する空き家所有者から登録の申出を受けた不動産情報を地方公共団体のホームページや窓口を通じて、購入または賃貸を希望する方に提供する制度)
→ フラット35借入金利を一定期間引き下げる
形になります。
ただし、細かい条件などは各地方公共団体が決めることができる仕組みになっています。
具体的には、下記ページから「フラット35子育て支援型・地域活性化型を連携している地方公共団体」を調べることができます。
いくつか見てみると
千葉県市川市
市川市子育て世帯同居・近居スタート応援補助金事業
「フラット35子育て支援型」
利用条件
【フラット35】子育て支援型をご利用いただくためには、市川市担当窓口から、【フラット35】子育て支援型利用対象証明書の交付を受ける必要があります。
【フラット35】子育て支援型利用対象証明書の交付を受けるためには、市川市子育て世帯同居・近居スタート応援補助金の要件に適合し、補助金の交付を受ける予定であることに加え、 【フラット35】子育て支援型の各種各要件に適合する必要があります。
【フラット35】子育て支援型の各種各要件
同居の条件
- 同居開始時において、世帯に小学校就学前の子(妊娠中の出産予定を含む)がいること
- 新たな住宅の購入等を機に、子ども、保護者、祖父母等が同居を始めること
- 新たに購入等した住宅の所在地に、平成29年4月1日から平成31年3月31日の期間に、居住する世帯全員が住民登録をすること
- 補助金を受けた多世代世帯が、同居を5年以上継続すること(【フラット35】の利用要件として)
- 新たな住宅の購入等(購入(新築・中古問わず)、新築、建て替え)を行うこと
- 新たに購入等する住宅は、世帯員のいずれかが所有し、自らが居住する住宅であること
- 新たに購入等する住宅は、平成29年4月1日から平成31年3月31日の期間に、登記を完了すること(所有権の保存または移転の登記)
- 建築基準法その他関係法令を満たし、新耐震基準に適合した建物であること
- 取得する住宅の床面積が住生活基本計画(全国計画)に定める最低居住面積水準以上であること
近居の条件
- 近居開始時において、世帯に小学校就学前の子(妊娠中の出産予定を含む)がいること
- 新たな住宅の購入等を機に、子ども、保護者、祖父母等が近居(直線距離500メートル以内)を始めること
- 新たに購入等した住宅の所在地に、平成29年4月1日から平成31年3月31日の期間に、居住する世帯全員が住民登録をすること
- 補助金を受けた多世代世帯が、近居を5年以上継続すること(【フラット35】の利用要件として)
- 新たな住宅の購入等(購入(新築・中古問わず)、新築、建て替え)を行うこと
- 新たに購入等する住宅は、世帯員のいずれかが所有し、自らが居住する住宅であること
- 新たに購入等する住宅は、平成29年4月1日から平成31年3月31日の期間に、登記を完了すること(所有権の保存または移転の登記)
- 建築基準法その他関係法令を満たし、新耐震基準に適合した建物であること
- 取得する住宅の床面積が住生活基本計画(全国計画)に定める最低居住面積水準以上であること
福島県二本松市
人口減少対策事業(定住促進住宅取得奨励金支給事業)
「フラット35子育て支援型・地域活性化型」
利用条件
【フラット35】子育て支援型・地域活性化型をご利用いただくためには、二本松市から、「【フラット35】子育て支援型・地域活性化型利用対象証明書」の交付を受ける必要があります。
「フラット35子育て支援型」
「人口減少対策事業(定住促進住宅取得奨励金支給事業) 」 に合致し、以下の要件を全て満たす方
- 補助申請者の年齢が新築住宅取得契約日時点で満40歳未満であること
- 補助申請者に新築住宅取得契約日時点で満18歳未満の現に同居し扶養する子がいること
「フラット35地域活性化型」
「人口減少対策事業(定住促進住宅取得奨励金支給事業) 」 に合致し、以下の要件を全て満たす方
- 二本松市外から二本松市に転入し、定住する意思をもって、今後住宅を取得すること
住宅の取得契約時の年齢が満40歳未満の方- 居住する新築住宅の工事請負契約日又は売買契約日において、生計を一にする配偶者を有しているこ
住宅の取得契約時の年齢が満40歳以上の方- 本人、同一世帯員及び同居する他の世帯員の全員について、居住する新築住宅の工事請負契約日又は売買契約日から起算して1年前以内に、本市内に住所を有していないこと
「フラット35子育て支援型・地域活性化型」の取扱いを開始している地方公共団体は
- 首都圏 → 「フラット35子育て支援型」が多く
- 地方 → 「フラット35地域活性化型」が多い
傾向にあり、全体的には地方の方が、「フラット35子育て支援型・地域活性化型」の取扱いを開始している地方公共団体の数が多くなっています。
当然、過疎化の問題が深刻な地域の方が補助金を多く、移住や子育てに予算を割いていると言っていいでしょう。
「フラット35子育て支援型・地域活性化型」 の金利
「フラット35子育て支援型・地域活性化型」の金利引き下げ
金利引き下げプラン | 金利引き下げ期間 | 金利引き下げ幅 |
---|---|---|
「フラット35子育て支援型」 「フラット35地域活性化型」 |
当初5年間 | 「フラット35」金利から年-0.5% |
※上記は、平成31年3月31日までの申込受付分に適用されるものであり、その後は引き下げ条件の変更が考えられます。
重要なポイントは
- 「フラット35子育て支援型」 + 「フラット35地域活性化型」 = 併用不可
- 「フラット35子育て支援型」 + 「フラット35S」 = 併用可
- 「フラット35子育て支援型」 + 「フラット35リノベ」 = 併用可
- 「フラット35地域活性化型」 + 「フラット35S」 = 併用可
- 「フラット35地域活性化型」 + 「フラット35リノベ」 = 併用可
と
メリットがあります。併用するということは「金利が二重で優遇される」ということを意味しています。
「フラット35子育て支援型・地域活性化型」×「フラット35S」の金利引き下げ
金利引き下げプラン | 金利引き下げ期間 | 金利引き下げ幅 |
---|---|---|
「フラット35子育て支援型」 or 「フラット35地域活性化型」 + 「フラット35S(金利Aプラン)」 |
当初10年間 | 当初5年間:「フラット35」金利から年-0.5% 当初5年間:「フラット35」金利から年-0.25% |
「フラット35子育て支援型」 or 「フラット35地域活性化型」 + 「フラット35S(金利Bプラン)」 |
当初10年間 | 当初10年間:「フラット35」金利から年-0.5% |
返済額比較
試算条件
- 借入額:3,000万円
- 借入期間:35年
団信:なし - フラット35金利:1.35%
フラット35 | フラット35 子育て支援型・地域活性化型 |
フラット35 子育て支援型・地域活性化型と フラット35S (金利Bプラン)の併用 |
|||
---|---|---|---|---|---|
借入金利 | 全期間 年1.35% |
当初5年間 年1.10% |
6年目以降 年1.35% |
当初5年間 年0.85% |
6年目以降 年1.35% |
毎月の返済額 | 全期間 89,666円 |
当初5年間 86,091円 |
6年目以降 89,182円 |
当初5年間 82,604円 |
6年目以降 88,685円 |
総返済額 | 37,659,981円 | 37,270,865円 | 36,882,807円 | ||
フラット35 との比較 (総返済額) |
— | -389,116円 | -777,174円 |
「フラット35子育て支援型・地域活性化型」×「フラット35リノベ」の金利引き下げ
金利引き下げプラン | 金利引き下げ期間 | 金利引き下げ幅 |
---|---|---|
「フラット35子育て支援型」 or 「フラット35地域活性化型」 + 「フラット35リノベ(金利Aプラン)」 |
当初12年間 | 当初12年間:「フラット35」金利から年-0.5% |
「フラット35子育て支援型」 or 「フラット35地域活性化型」 + 「フラット35リノベ(金利Bプラン)」 |
当初7年間 | 当初7年間:「フラット35」金利から年-0.5% |
返済額比較
試算条件
- 借入額:3,000万円
- 借入期間:35年
- 団信:なし
- フラット35金利:1.35%
フラット35 | フラット35 子育て支援型・地域活性化型 |
フラット35 子育て支援型・地域活性化型と フラット35S (金利Bプラン)の併用 |
|||
---|---|---|---|---|---|
借入金利 | 全期間 年1.35% |
当初5年間 年1.10% |
6年目以降 年1.35% |
当初7年間 年0.85% |
8年目以降 年1.35% |
毎月の返済額 | 全期間 89,666円 |
当初5年間 86,091円 |
6年目以降 89,182円 |
当初7年間 82,604円 |
8年目以降 88,290円 |
総返済額 | 37,659,981円 | 37,270,865円 | 36,604,069円 | ||
フラット35 との比較 (総返済額) |
— | -389,116円 | -1,055,912円 |
「フラット35子育て支援型・地域活性化型」の金利比較
銀行 | 住宅ローン名 | 金利タイプ | 借入期間 | 実質金利(年率) 保証料/優遇込み | 当初期間終了後 変動金利 | 事務手数料(税込) ※%は借入額に対しての割合 | 保証料 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ARUHI | フラット35子育て支援型・地域活性化型(融資額90%以下/団信なし):15年以上~20年以下 | 当初固定金利 | (10年) | 1.020% | 1.270% | 1.10% | 無料 |
ARUHI | フラット35子育て支援型・地域活性化型(融資額90%超/団信なし):15年以上~20年以下 | 当初固定金利 | (10年) | 1.130% | 1.380% | 1.10% | 無料 |
ARUHI | フラット35子育て支援型・地域活性化型(融資額90%以下/団信あり):15年以上~20年以下 | 当初固定金利 | (10年) | 1.220% | 1.470% | 1.10% | 無料 |
ARUHI | フラット35子育て支援型・地域活性化型(融資額90%超/団信あり):15年以上~20年以下 | 当初固定金利 | (10年) | 1.330% | 1.580% | 1.10% | 無料 |
ARUHI | フラット35子育て支援型・地域活性化型(融資額90%以下/団信なし):21年以上~35年以下 | 当初固定金利 | (10年) | 1.410% | 1.660% | 1.10% | 無料 |
ARUHI | フラット35子育て支援型・地域活性化型(融資額90%超/団信なし):21年以上~35年以下 | 当初固定金利 | (10年) | 1.520% | 1.770% | 1.10% | 無料 |
ARUHI | フラット35子育て支援型・地域活性化型(融資額90%以下/団信あり):21年以上~35年以下 | 当初固定金利 | (10年) | 1.610% | 1.860% | 1.10% | 無料 |
ARUHI | フラット35子育て支援型・地域活性化型(融資額90%超/団信あり):21年以上~35年以下 | 当初固定金利 | (10年) | 1.720% | 1.970% | 1.10% | 無料 |
「フラット35子育て支援型・地域活性化型」の金利比較の注意点
「フラット35子育て支援型・地域活性化型」も、「フラット35」も、どの銀行から借り入れても、金利は全く同じです。
※厳密に言えば金利が違う銀行もありますが、住宅金融支援機構がフラット35の金利を幅をもって決めているので、大手銀行が扱っているフラット35であれば、その下限金利が採用され、「どの銀行でも、金利が横並び」という状態になっているのです。
金利が同じなのですから「フラット35子育て支援型・地域活性化型」を比較するうえで重要になるのは
- 事務手数料の安さ
- サービス・優遇特典
- 保障
の3つぐらいしかないのです。
フラット35子育て支援型・地域活性化型の利用手続の流れ
注意しなければならないのは
ということです。
通常のフラット35の申込フローよりも手順が増えることに注意が必要です。
フラット35子育て支援型・地域活性化型のメリット
その1.総返済額・毎月の返済額が軽減される
最大のメリットは、金利が引き下げられるのでその分、総返済額・毎月の返済額が軽減されます。
前述した試算結果では
結果になっています。
その2.「フラット35S」「フラット35リノベ」と併用が可能
「フラット35S」「フラット35リノベ」と併用することができるので組み合わせて使えばさらに総返済額・毎月の返済額が軽減されます。
「フラット35子育て支援型・地域活性化型」と「フラット35S(金利Bプラン)」を併用する → 「フラット35」よりも777,174円総返済額が安くなる
「フラット35子育て支援型・地域活性化型」と「フラット35リノベ(金利Bプラン)」を併用する → 「フラット35」よりも1,055,912円総返済額が安くなる
その3.支援事業自体の補助金も利用できる可能性がある
前述した「千葉県市川市」の例では
市川市子育て世帯同居・近居スタート応援補助金の補助上限金額
同居の場合:100万円
近居の場合:50万円
という補助金が支給されます。
市川市では、親族による子育て支援の推進、出生率の向上、子育て世帯の定住促進などを目的に、子育て世帯とその祖父母世帯が同居または近居(直線距離500メートル以内)を開始するため、住居の購入等を行う場合にその費用の一部を助成します。これにより、地域全体で安心な子育てと祖父母と孫のふれあいを応援します。
どちらかというと「フラット35子育て支援型・地域活性化型」ありきの補助金ではなく、はじめからあった補助金制度を「フラット35子育て支援型・地域活性化型」にも適用させたという形になっています。
その4.民間銀行の住宅ローンと違って、当初固定期間終了後も、全期間固定金利
民間銀行の住宅ローンの場合は
当初固定金利は、当初期間終了後は金利が上昇するとともに、その時点で「変動金利」や「固定金利」を選びなおす仕組みとなっています。
当初期間終了時点の金利水準が今よりも上昇していたら、その上昇後の金利を基準に次の金利タイプを選ぶのです。
というデメリットがあります。
しかし、「フラット35子育て支援型・地域活性化型」の場合は、あくまでも全期間固定金利の「フラット35」をベースにして、一定期間だけ金利が優遇される仕組みとなっています。
になります。これは大きなメリットと言えます。
フラット35子育て支援型・地域活性化型のデメリット
その1.まだまだ利用できる地方公共団体は少ない
「フラット35子育て支援型・地域活性化型」は、非常にお得な支援制度ではあるものの、まだまだ採用している地方公共団体の数が少ないのが現状です。
2018年7月時点で確認できるのは330の地方公共団体です。
一見数が多そうに見えますが、地方公共団体は1718あるのですから、20%の満たないのです。
その他のフラット35ランキングはこちら
まとめ
「フラット35子育て支援型・地域活性化型」のメリットには
- その1.総返済額・毎月の返済額が軽減される
- その2.「フラット35S」「フラット35リノベ」と併用が可能
- その3.支援事業自体の補助金も利用できる可能性がある
- その4.民間銀行の住宅ローンと違って、当初固定期間終了後も、全期間固定金利
というものがあり
「フラット35子育て支援型・地域活性化型」のデメリットには
- その1.まだまだ利用できる地方公共団体は少ない
というものがあります。
「フラット35子育て支援型・地域活性化型って、どんなメリットデメリットがあるのでしょうか?」
・・・